枝元なほみ 伊藤比呂美対談「食と食育、そこから文学」の感想3

番頭です。丁稚M隊員が感想を寄せてくれましたので、掲載します。

わたし、食べることがなによりも好きなんですよ。趣味はなんですかって質問にはそりゃ食べることですよって即答してしまうし。このあいだ、ある和食屋さんでアオサのお味噌汁を口にしたときなんてもう、それはそれは。磯の香りってこれのことだったのか!!って。目を閉じれば海が広がります、なんてコピーにも、その通り!って思わず頷いてしまうような。おいしいものに出会ったときほど幸せを感じることはないですね。
そんな表情が満面にあらわれていたのでしょう。塩トマトのスライスをモグモグさせていると、隣のお客さんが「お嬢チャンは、たーは食べたことあるや?」と話しかけてきました。いやーないですね。ていうか「たー」ってなんですか?「たーはたーたい。トマトたい」って。なんというか、自信満々そうな顔で言うんです。わたしがスーパーで買う1番安い(値段によってはミニトマトに変更するような)トマトではないな、とそこは察知して、やっぱりなさそうです、と言うと「じゃあな、オッチャンがな、あんたの家に送っちゃーけん、住所ば書いてくれんか」とうすい手帳を差し出しました。
それから1週間もたっていないと思います。うちの狭いアパートに、どでかい段ボールが3箱も届きました。中はトマト!これでもかってぐらい!こんなに誰が食べるんでしょう?ってぐらい。ぎっしりつまったトマト。300近く入っていたんじゃないかな。お行儀良く並んだそれは表面に上品な光沢があってまるで、宝石でした。お礼の電話を入れると、「いやぁ、あんたが食べよっとば見たら俺んとこのトマトも食べてほしかったったい」と。トマトにもその行為にも、農業へのストレートな愛情を感じました。枝元さんの「農家に押しかけて節約」談と盛り上がった質疑応答に、このおととしのエピソードを思い出しました。(丁稚M)