池澤さんの娘さん

よくよく考えてみると今回は、池澤夏樹さんの講演会なのでした。
なぜ、そんな当たり前のこと、いちいち、確認するかというと、
私は講演を聴いていないのです。
それ以外の池澤さんとの接触もゼロ!!
というのも、8歳の娘さんとずーっと一緒だったというわけで。
(講演中は視聴覚室で「名探偵コナン」鑑賞)
かといって損したなんてことはこれっぽっちもなかったです!!
これは断言したい!! ドンドン!!(←テーブルを叩く音)
わたしはラッキーでした。
フランスで育っているから、ではなくて
子どもにしては、ということでもなく
娘さんはすばらしい人でした。
一人の人としてすばらしいな、と思ったのです。
そんなすばらしい人と濃密な時間をすごせた私はラッキー。
何がどうすばらしかったかは娘さん係の特権として内緒にしておきます。


もう一つ、すばらかったのは懇親会(inオレンジ)での池澤さんの朗読。
(これが私にとって唯一の池澤さんなのでした)
普段の私ならば、その詩その物語を全体を早く知りたいから
むずむずしながら聴いている。
しかし、あのときは違いました。
オレンジの灯りと。 木の椅子と。 並ぶ本の背表紙と。
池澤さんの柔らかい声。
息をひそめ、耳を傾けるわたしたち。
最高でした。
この時間がいつまでも終わらないといい。
幸福でした。
読み終えた池澤さんが顔をあげ、思わず漏らしたみんなのため息に、
涙が出そうなくらい幸福でした。

丁稚M