番頭の「橙書店で売っていた」(その3)
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- 作者: 井上雄彦伊藤比呂美
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伊藤 私、本当に考えたのよ。まきこさんは、どういう母親で、何センチくらいで、家ではどんなものを作って息子たちに食べさせているのかなあって。
井上 「まきこさん」って言ってわかる人、あんまりいないと思いますけど。すごいですね、読み方が。その話は初めてされたなあ、まきこさんの話。
伊藤隊長は、「作者に聞けば読み方はわかる」という以上のものを示しています。自分の意図を超えた読み方を井上雄彦さんが喜んでいるのも注目です。
井上 伊藤さんの詩は、『コヨーテ・ソング』もそうですけれど、やっぱり言葉がすごいなと思うんです。
伊藤 ありがとうございます。
井上 切ったら血が出るような言葉だと、僕は読んでいて思いました。
伊藤 うふ。
井上さんも隊長の詩のすごさを瞬時に見抜いている。
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伊藤 あの「ゴッ」が好きなの私!
井上 「ゴッ」が好きですか、ありがとうございます!
伊藤 海南戦あたりの繊細さと山王戦あたりの力強さって、また違うんですよね。伝わってくるものも違う。だから必然だと思うんですよ。「こう来て、ああ来て、こうなった」というのは。
井上 すごい嬉しいです、本当に。
この歴史的な会話は、熊本で交わされたのです。