助手による受講生のための予習メモ(4月) その4
壁と卵の問題
2009年、村上春樹はイスラエルの文学賞「エルサレム賞」を受賞しました。
ハルキがこの授賞式に出席したことは、日本のみならず世界的にもニュースになりました。
当時、ガザ地区ではイスラエル軍とハマースによる激しい戦闘がおこなわれており、1000人以上の市民が犠牲になりました。
授賞式に出席することはイスラエルを支持することになるのでは、という反対の声があがり、本の不買運動を起こすという警告さえもあったといいます。
しかし、ハルキは出席しました。
その記念スピーチでの言葉です。
高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ。
壁とは「システム」をあらわしています。
卵は「私たち」です。
システムは私たちを守る存在と思われているけれども、時に自己増殖し、私たちを殺し、さらに私たちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させ始める、と。
この言葉、どうとらえますか?
スピーチ全文
http://www.47news.jp/47topics/e/93925.php