助手による受講生のための予習メモ(6月) その4

大庭葉蔵=太宰治


人間失格』は、昭和11年、太宰二十九歳の時の精神病院への入院、はじめの妻初代が他の男とあやまちを犯したことを知ったこと、これらが基になっているといわれています。
パビナール中毒にかかり、その注射代を得るために方々に借銭や不義理を重ねる太宰。
さらに中毒症状から奇矯な行動が多くなった彼を心配した先輩、友人たちは、中毒をなおすため強引に入院させたのですが、このことが太宰に衝撃を与えたのでした。
自分は世間から、単なる「狂人」として見られていた・・・。
先輩や友人に対する不信。
入院期間中に起こった、その純粋さゆえに愛していたはずの妻のあやまち。
太宰はもう何も信じることができなくなってしまいました。