行定スペシャル 感想〈6〉

映画ができるまで。
その期間がなければ映画を観ることはできない。
それは当たり前にわかってはいても、未知の領域。どんな思いがあって映画がつくられているか、話を聞きながら、上手く表現できないけれど、とても大きな水滴をぶつけられたような…身体に響くパワーと、それでいてすぐに壊れてしまいそうな繊細さを同時に味わった気がする。
何かを作り上げるって、自分をさらけ出すことかも知れない。怒りも喜びも哀しみも、なにもかも。

大学のとき、エッセイを書いたことを思い出した。
それはそれは拙い文章で。
でもあの時は書きながら涙がでた。改めて言葉にすること、気持ちを表現することで、とても苦手な分野だけれど、あの時、私は初めて自分を語ったのだと思う。
本来、素人の私のエッセイと映画を並べることなどできるはずがない。
けれど、行定監督の話を聞いて、久しぶりに激しく、感情を自分の中に感じることができて、映画ができるまで、どんなに大きな思いを抱えながら過ごしているのだろうと、短いエッセイを書いた当時のことを思い出したのだ。
とても刺激的で、楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

(Y・M  25歳  高校教諭)