助手のオススメ

個人的な話になりますが…
助手は芥川龍之介が大好きです。
戯作三昧」「舞踏会」「南京の基督」は、読んでおくと聴講に直接的に役立つ作品。
ここからは助手の個人的なオススメ作品です。


地獄変


平安時代
天下一の腕前として高名な絵仏師良秀は、猿のような気味の悪い容貌を持ち、吝嗇で慳貪な性格でした。
この良秀には一人娘がいました。
親に似もつかない愛嬌の良さと思いやりの深さを兼ね備えた娘は、当時権勢を誇っていた堀川の大殿に気に入られます。
娘を溺愛していた良秀はこれに不満で、事あるごとに娘を返すよう大殿に言上するため、彼の才能を買っていた大殿の心象を悪くしていきます。
ある時、良秀は大殿から「地獄変」の屏風絵を描くよう命じられました。
「見たものしか描けない」良秀は、8割方は出来上がったものの、燃え上がる牛車の中で焼け死ぬ女房の姿を書き加えたいがため、実際に車の中で女が焼け死ぬ光景を見たい、と大殿に訴えます。
大殿は、その申し出に異様な笑みを浮かべ…


良秀が守りたかったものは、芸術なのでしょうか?
謎が多く残る作品です。


初出:大正七年五月「大阪毎日新聞夕刊」「東京日日新聞