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袈裟と盛遠


盛遠の独白。
「己は今夜、己の憎んでいない男を殺さなければならない」
「三年間、成程己はあの女のことを忘れずにいたにちがいない」
「必ず、己はこの女に殺されるだろう」
袈裟の独白。
「私自身を頼みにする事の出来なくなった私は、何と云うみじめな人間だろう」


初出:「中央公論」1918(大正7)年4月